「シーベリー(サジー)とは?」を丸ごと解説

この記事では

「シーベリーって、どんな食べ物?」
「健康にいいって、ホント?」

という方のために、シーベリーについて丸ごと解説していきます。

シーベリーは「奇跡の果実」と呼ばれるスーパーフード

シーベリー(サジー)の果実

▶︎ 「スーパーフード」とは?を丸ごと解説

シーベリーは「奇跡の果実」と呼ばれる、オレンジ色の実の果物。

下記のように、産地ごとに呼び名が変わり、日本では「サジー」とも呼ばれることが多いですが、同じ果物を指します(当サイトではシーベリーで統一しています)。

シーベリー(サジー)の産地別の呼び名一覧表

  • ヨーロッパ:シーベリー
    ※イギリス:シーバックソーン、ドイツ:サンドロン、ロシア:オビルビーハ、フィンランド:トゥルニ、デンマーク:ティンブド
  • 中国:サジー(沙棘)
  • アメリカ:シーバックソーン
  • モンゴル:チャチャルガン
  • 日本:ウミクロウメモドキ

栄養バランスに優れたスーパーフードとして、近年、世界中の健康・美容志向の方に注目されています。

一般社団法人日本スーパーフード協会が発表した「2020年上半期トレンド予測 スーパーフードランキング TOP10」でも、青パパイヤ・菊芋・マルベリーに続く4位にランキングされました。

2020年上半期トレンド予測 スーパーフードランキング TOP10

分類グミ科ヒッポファエ属
生息地ユーラシア大陸全域(標高が高く、年間降雨量の少ない地域)
収穫8〜10月
外見2~4メートルくらいの高さで、葉は針状。幹や枝には長いトゲがたくさんあります。秋になると小豆やイクラの卵ほどの大きさ(直径5mm〜1cm)のオレンジ色の実をつけます
香り独特の油分が多く、匂いが強いです
甘みもありますが、酸味と渋みが強いです

シーベリーの機能性

あくまでも食品ですが、一定の継続摂取を前提に、花粉症・皮膚炎・貧血などといった悩みや、免疫力を高める効果効能が期待されます。

化粧品文脈では「飲む美容液」とも呼ばれ、含有する油脂(不飽和脂肪酸)が保湿目的に使用されます。

アトピー肌の乾燥を防ぎ、かゆみによる悪化を抑えると同時に、皮膚細胞の再生を促す作用もあります。

シーベリーの生態

非常に生命力が高く、紫外線の強い標高1,200~2,000mの高山、年間降雨量250mm以下の日照りが強い干ばつ地域、最大95℃もの寒暖の差が激しい環境でもたくましく自生できます。

冬の-40℃にもなる厳しい環境で凍結を防ぐために、実の中にオイルを蓄え、これに含まれる成分がスーパーフードとして評価される最大のポイントです。

また、砂漠の緑化・土壌侵食防止・汚染還元などにも活用され、エシカル(倫理的=環境保全や社会貢献)な植物としても人気です。

これまで日本では自生していなかった果物ですが、2006年より北海道勇払郡のむかわ町穂別で試験栽培が開始。

2008年には初収穫され、2013年にはジュースとして商品化されました。

シーベリーの歴史

シーベリーは、5,000年以上前から栄養を豊富に含んだ果物として人々に親しまれてきました。

たとえば、インドの伝統医学・アーユルヴェーダやチベット医学では、薬草の一つとして認められています。

また、世界最大級のシーベリー産地・モンゴルでも、古くから民間伝承薬として健康管理や肌のお手入れ、風邪のひき始め時に活用。

チンギス・ハーンが戦場へと出兵する際は、兵士や馬にシーベリーの果実を食べさせて精気を養ったと言われています。

近年では、1960年代にソビエト連邦がシーベリーを宇宙食として採用。

2010年には、インド政府がシーベリーを国家プロジェクトのひとつに加えています。

結果、2017年時点で、インド国内のシーベリーの商業価値は、2001年比でおよそ6倍以上に拡大するほど、注目されています。

200〜300種類の豊富な栄養成分が「奇跡の果実」と呼ばれるゆえん

シーベリー(サジー)ジュース

前述した通り、シーベリーは栄養バランスに優れたスーパーフードとして、近年、世界中の健康・美容志向の方に注目されています。

200〜300種類もの栄養成分が含まれていると言われ、果実はもちろん、樹皮・葉・根など、すべての部位が製品化されています。

健康食品(サプリメント)・健康飲料以外では、化粧品分野でアンチエイジング目的や色素や潤い成分としても活用されています。

5,000年以上前から世界中の人々が食べてきた食経験から安全性はきわめて高く、重大な副作用の報告もありません。

下記にシーベリー に含まれた代表的な栄養素を一覧表にまとめましたので、ご確認ください。

栄養素種別効果効能
[ビタミン]人が生きていくために必要不可欠な栄養素の内、三大栄養素以外の有機化合物の総称[ビタミンA]レチノール・レチナール・レチノイン酸の総称。脂溶性目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きがあります。シーベリーに含まれたビタミンAは、レモンの56倍。通常、豚やレバーなどの動物性の食材に含まれていることが多いので、これらの食材が苦手な方におすすめです
[ビタミンC]別名アスコルビン酸。水溶性骨や腱などの結合や修復に必要なコラーゲンの生成に必須の栄養素で、毛細血管・歯・軟骨などを正常に保つ働きがあります。また、皮膚のメラニン色素の生成を抑えたり、日焼けを防ぐ作用、ストレスやかぜに対する抵抗力を強めたり、抗酸化作用があります。シーベリーには、ブリーベリーの10倍、プルーンの21倍ものビタミンCが含まれています
[ビタミンE]トコフェロール・トコトリエノールの総称。脂溶性生体膜や生殖機能を正常に保ったり、赤血球の溶血を防止する他、強い抗酸化作用があります。シーベリー には、ブルーベリーの3倍、いちごの12倍ものビタミンEが含まれています
[不飽和脂肪酸]三大栄養素の一つ「脂質」の構成要素で、エネルギー源の役割を果たし、植物油や魚油に多く含有[オメガ3脂肪酸]α-リノレン酸が代表。EPA・DHAに変換血液を固まりにくくしたり、炎症を抑えたりする働きがあります。体内で生成されず、食物で摂取するしかない必須脂肪酸です
[オメガ6脂肪酸]リノール酸・アラキドン酸が代表血中コレステロールの低下やアレルギーの緩和、高血圧を予防する働きがあります。体内で生成されず、食物で摂取するしかない必須脂肪酸です
[オメガ7脂肪酸]パルミトレイン酸・バクセン酸が代表悪玉コレステロールを減らし、血管を健康に保つ働きがあり「若さの脂肪酸」と注目されていますが、年齢とともに、体内で合成されにくくなります。シーベリーに含まれたオイルの約1/3を占めます。
[オメガ9脂肪酸]オレイン酸が代表悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化のリスクを低下させる働きがあります
[植物ステロール]三大栄養素の一つ「脂質」の一つで、植物に含有悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化を予防する働きがあります
[アミノ酸]三大栄養素の一つ「タンパク質」の構成要素で、人の身体を構成[グルタミン酸]別名2-アミノグルタル酸神経伝達物質の一つとして、記憶・学習機能の働きがあります
[アスパラギン酸]別名2-アミノブタン二酸窒素やエネルギー代謝を活性化し、エネルギーを生み出したり、持久力の向上や疲労回復の働きがあります。栄養ドリンクに配当されることが多いです
[ミネラル(無機質)]人の身体の構成要素の内、酸素・炭素・水素・窒素以外の成分の総称[亜鉛]骨格筋・骨・皮膚・肝臓・脳・腎臓の構成要素目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きがあります。シーベリーには、ブリーベリーの7倍もの亜鉛が含まれています
[カリウム]細胞内液の構成要素体内の塩分を調節して、血圧を下げる働きがあります
[カルシウム]骨や歯の構成要素骨や歯を生み出す他、血液凝固・筋肉収縮・神経興奮の抑制・細胞の機能調節の働きがあります
[鉄分]血液中のヘモグロビンの構成要素貧血や疲れ・だるさ予防の働きがあります。シーベリーには、プルーンの27倍、レバーの1.4倍もの鉄分が含まれています
[ポリフェノール(フラボノイド)]ファイトケミカルの一種で、光合成によってできる植物・果実の色素や苦味成分[カテキン]お茶の渋味成分抗酸化・抗ウイルス・抗アレルギーのほか、コレステロールや体脂肪・血糖値を下げたり、虫歯や口臭を予防する働きがあります
[タンニン]カテキンが多数結合した成分
[ケルセチン]タマネギの色素成分抗酸化・抗炎症の働きがあります
[カロテノイド]ファイトケミカルの一種で、植物・果実の色素成分(赤・黄色・オレンジ)[リコピン]トマトの色素成分βカロテンの2倍もの抗酸化の働きがあります
[食物繊維]人の消化酵素によって消化されにくい、食物成分の総称便秘の予防や、血糖値上昇の抑制、血中コレステロールの低下などの働きがあります

ビタミンA・C・Eをバランス良く配合し、不飽和脂肪酸もオメガ3・6・7・9をすべて含む唯一の植物です。

オレンジ色の濃いほど、新鮮で抗酸化成分を多く含み、品質が高いと言われています。

標高が高く、かつ乾燥や寒暖の差が激しい沙漠に自生しているシネンシス系のシーベリーが特に栄養価で定評があります。

「良薬口に酸っぱし!」独特の酸味が、人によっては難点

酸っぱい子どもの顔

このように「奇跡の果実」とも言われるシーベリーですが、誰もが知っているとは言えず、知名度に課題があります。

各地で様々な呼び名が存在しているのも、人々の認識が定まらない理由の一つです。

その他、下記注意点があります。

  • 一見、オレンジジュースに見えますが、独特の酸っぱさと匂いは、人によっては抵抗があるという方もいます(柑橘系のジュースや炭酸水やヨーグルトと混ぜたり、スムージーにして飲むと、だいぶ飲みやすくなります)
  • 油分が多く、胃に負担がかかりやすい(食後に摂取することが望ましいです)
  • 収穫が困難で価格が高いです(表皮が柔らかく、痛みやすい上、枝には棘もある点、油分が多く加工の手間もかかるため)

副作用や重篤な健康被害の報告はありませんが、薬との併用は、相互作用の可能性があります。

特に血液凝固を妨げる可能性があり、手術予定のある方や、アスピリン・クロピドグレル・ジクロフェナク・イブプロフェン・ナプロキセンなどを服用中の方は使用を避けてください。

また、母乳中にどの程度移行するか、また乳児に対する影響に関しては、まだわからないこともあります。

妊娠中・妊活中・授乳中の方は医師に相談し、使用の判断を仰いでください。

まとめ

  • シーベリーは「奇跡の果実」と呼ばれるスーパーフード
  • 200〜300種類の豊富な栄養成分が「奇跡の果実」と呼ばれるゆえん
  • 「良薬口に酸っぱし!」独特の酸味が、人によっては難点